ハカランダの正体・2

木のボールペン木の紹介

前回、やっと樹種の特定に至ったハカランダ。

KN0_0223.jpg

ハカランダのペン

木材の組織調査では、 『ブラジリアンローズウッドを含むツルサイカチ属』ということで、正確な樹種までは分かりませんでしたが、様々な要素から、

『ほぼ、ブラジリアンローズウッドで間違いないだろう』 という見解を頂きました。

ということで、木材の組織調査やその他の要素のお話です… ・木材の組織調査とは 調べる材を薄くスライスして組織観察用の切片を作成し、顕微鏡で木材組織を見ることで、組織の特徴を調べることです。 そして調べた組織の写真を、見本となる各樹種の組織写真と比較することで、樹種の特定をするそうです。

しかし、調べていただいた方によると、ローズウッドは、いずれも同じグループに属する樹木になり、植物学的には同属別種という扱いになるため別種扱いとなり、花、葉、実が違うのは事実ですが、木材の鑑定は、成分、油分よりも、組織学的な構造に頼っているため、同属の場合は、組織学的な構造はほとんど変わらないので、区別が難しいとのこと。
また、ローズウッド系の組織標本があるか問い合わせた森林総研には、ローズウッド系の標本があまりなかったそうで、逆に当店から送ったローズウッド系の種類がわかっている木片からプレパラート作るなら、うちの分も作ってくれと言われたそうです(^_^;)

その後、ローズウッド系の組織標本は別ルートからほぼ全種類の組織写真を入手でき確認がとれたそうで、様々なローズウッド系の組織標本と今回の謎ハカランダを比較して頂けました。
その結果、ツルサイカチ属であることは間違いがなく、ブラジリアンローズウッドの標本とよく似ていたそうです。
しかし、同じ南米産であるココボロとブラジリアン・ローズウッドが非常に似ており、ココボロは組織写真がなかったことから違いが判別できなかったことと、各標本1点の写真なので、他の種類と変位の幅が重なる可能性もあり、現状では、『ブラジリアンローズウッドを含むツルサイカチ属であった』と御報告するのが精一杯だったわけです。

KN0_0218.jpg
ハカランダのペン(変わり杢限定品)

この結果の詳細を聞いた時、組織のみに限定するとココボロとブラジリアンローズウッドに差がないことに驚きつつも、普段扱っているココボロと謎ハカランダでは、材の色味や油分、匂いが明らかに異なっている点が気になったため、そういった点をうかがったところ…

・組織観察用の切片を作成する際に一旦水に浸けこむそうで、その際の溶けだした含有成分がココボロと謎ハカランダでは全く異なっていたこと。
(このことから成分分析をすると樹種がわかるかもしれないけれど、そもそもブラジリアンローズウッドの成分のサンプルがある場所がないんじゃないかとのことです)

・謎ハカランダを薄くスライスする際、研究室が非常に甘い香りに包まれたとのこと。
(その他のローズウッド系の材と比較し格段に甘く強い香りだったそうです)

・一緒に調べた名前のわかっていたローズウッド系はココボロを除き確認が取れ、どれとも異なっていたこと。
(前途の通り同族別種のため、比較は間違い探しのようだったそうですが)

これらのことから、木材の組織調査では判別できなかったけど、ココボロとは別の材である可能性が高く、他のローズウッド系とも異なり、材そのものの特徴がブラジリアンローズウッドと合致しているため、

『ほぼ、ブラジリアンローズウッドで間違いないだろう』

との見解になるそうで、『ブラジリアンローズウッドとして販売して問題ないでしょう』と付け加えていただけました。
と、いうことで、謎ハカランダには晴れてブラジリアンローズウッドと名前をつけることが出来ました。
御存知の通りこの材は偽物が多く、間違えるわけにはいかない樹種だっただけに、曖昧にせずきっちり調査してよかたと思います。
なお、今回の木材の組織調査は後日、資料をまとめて送っていただくことになっているため、その資料が届き次第こちらのブログにてそのうちご報告します。
ところで、ウィキペディアのブラジリアンローズウッドの項にて『ワシントン条約 (CITES) に指定され、取引することは違法である』って書いてあったんですが、もしこのハカランダがブラジリアンローズウッドと断定されてしまった場合、普通に販売してしまってよかったんでしょうか??
ちょっと探すと、ブラジリアンローズウッドで作った商品(本物かどうかは不明)を販売していたりするので、国内で販売する分には問題ないような気もしますが…

コメント

タイトルとURLをコピーしました