続・マーブルウッドのお話

現在本店のみの取り扱いとなっています、マーブルウッド。
随分前(2014年)のブログ記事にて出どころと名前を紹介していましたが、最近色々なところで聞かれるので、私が持っている情報を整理しました。

産地

そもそもマーブルウッドを当店が仕入れたのはかれこれ15年くらい前(2005年頃)で、当時仕入元の材木屋さんからは南米産材で詳細はよくわからないとのことでした。

ところが何年かして材木屋さんからマーブルウッドは南米発のスタンプの下から中国から出荷されているスタンプが出てきたそうで、中国発、南米経由で日本に入ってきた材という連絡をもらいました。
どういった海洋ルートを通ったのか全く謎ですが、とにかくそういうことだそうです。

ちなみにその時(2008年くらい)に、材木屋さんの倉庫で入荷したばかりの大量のマーブルウッドを見せてもらったのですが、この時の入荷が最後でそれ以降新しい材の入荷はないようです。

正式名称:黄金樟?

2014年のブログにも書きましたが、たまたまお店にこられた中国の木材関係の方がその場で調べて頂き正式名称が『黄金樟』と教えてもらいました。
また、中国語サイトなどを色々と調べたところ黄金樟という名前でマーブルウッドとそっくりな材が結構な割合で出てくることもあり、そうなのだろうと判断していました。

ただ、黄金樟は名前の通りクスノキ科ですが、マーブルウッドには結構な個体差があり、クスノキ科っぽいものとそうでないものがあり、全て黄金樟かというとちょっと違うようです。

これは、似たような材を一括にし、それらしい名前をつけて販売したためで、海外の材木商がよくやる販売手法です。
理由の多くは、本来の名前では知名度が低くて売りにくいためだったり、同じような木目の材なのだから一緒でしょ?木目きれいなんだからいいじゃない?という大雑把な考えから。
(外国の方いわく日本人が細かすぎるらしい)

なので、黄金樟=マーブルウッドかもしれませんが、マーブルウッドの全てが黄金樟とは限らないということになります。

そしてもう一つ、正式名称を出すと正規ルートで表立って取引や輸出ができない時に名前を変えるケースもあります。

また、黄金樟に関する中国語のサイトの説明も、業者によるウリ文句の可能性もあるので、全て鵜呑みにしないほうが良いかもしれません。

希少と言われていますが、入荷した材を昔、倉庫で見た限り相当量が日本に入ってきていること、日本国内、国外共に調べればまだ売られている(良材かどうかはわからないが)ので、そこまで希少というわけでもなさそうです。

Golden MadroneとEmperor Burl

比較的近年のヨーロッパの突板専門書(2014年出版)にマーブルウッドらしきものが載っていたので、そちらの情報も。

欧米では『Golden Madrone』、オーストラリアやタスマニアでは『Musk Burl』とも呼ばれている樹種がマーブルウッドに非常によく似ていました。
産地は東南アジアと記載されていましたが、全て同じ種かは非常に疑わしく、近年輸入されてきたばかりで正確な分類はできていないということでした。
なおMadrone(マドローネ)は北米産でマーブルウッドと瘤の感じは似ていましたが科が異なっており別種。上記の名前も通称名と思われます。

また、同じ本に『Emperor Burl』(商品名Phoebe)という通称名の樹種の記載があり、こちらは中国南部原産のクスノキ科の瘤で、明代、清代の皇帝御用達の希少木材だそうです。
特徴として、黄金色に輝き、害虫にも強いため保存状態の良い家具が現代でも見つかるらしく、杢模様はマーブルウッドを細かく緻密にした上位互換といった感じ。
正直こっちが黄金樟なんじゃないかと思えますが、突板屋さんのウリ文句の可能性もあります。

本の画像の流用は著作権的にあれなので、気になる方は名前をご自分で調べてみてください。

ちなみに、中国語サイトで、ミャンマーの国宝の一つとまで書かれていましたが、実はミャンマー本国の情報はミャンマー語がわからないため、調べられない状態です。
また、東南アジアで同じような瘤模様の材は存在しているようで、それらしい名前、例えばMyanmar golden Camphor Wood とか調べると色々と出てきます。

盗木の可能性

最後に材木屋さんの倉庫で見た大量のマーブルウッド、その全てが抱えたり背負える大きさで、切り口も荒いことから、山から盗み出したんじゃないかと笑い話をしていたのですが、実際これだけよく分からない材の場合、その可能性があります。

別の外国材の材木商さん曰く、よく分からない木材に新しい名前をつけて売り捌くケースは昔からあり、聞いたことない通称名がついていて、結果的に入荷は1回こっきりというパターンはかなり怪しいとのこと。

マーブルウッドの場合、山間部から持ち出すため抱えられる大きさにカット、違法伐採だから正規ルートでは捌けず、わざわざ『マーブルウッド』と言う名前をつけ輸出向けに販売、経由地を使って更に複数のルートに出荷といった経緯があったのかもしれません。

ちなみに、南米には通称名マーブルウッドの『アンジェリンラジェッタ』という樹種があるので、それと混同させた可能性もあります。

結局マーブルウッドはマーブルウッド

はっきりしているのは、東南アジア原産で日本向けには『マーブルウッド』という名前がつけられていることのみ。

材木商さんでも間違える時は間違えるし、出荷元が勝手につけた名前でそれ以上の情報がない以上、どうしてもなんの木か確認したい場合は、実際の木を現地まで行って見てくるしかないようです。

ということで、様々な憶測がありますが結局何もわからないことがわかり、『マーブルウッドはマーブルウッド』でしかないということでした。

最後に、上の方でも少し書きましたが、ここまで樹種名を詳細に拘るのは日本人特有で、海外の木材関係の方は『同じような木目の材なのだから一緒でしょ?木目きれいなんだからいいじゃない!なにか困ることある?』というスタンスなので、あまり目くじら立てず気に入ったから買うくらいの気持ちでいた方が精神衛生上良さそうです。

オマケ:通称名をネタにした記事

>>パロサントに通称名をつけたら間違える人続出

>>適当すぎるオーストラリアンウッド

コメント

  1. MASAKI より:

     いつもブログ、Twitterなど、楽しく拝見させていただいております。
     野原工芸さんのペン購入の木種を参考にしたいので、木種による経年変化のようすをまとめてブログやTwitterにあげていただけますでしょうか?
     お手数おかけいたしますが可能な限りあげていただけると幸いです。
    遠くからいつも応援させていただいております。頑張ってください。

    • kazu より:

      MASAKIさん
      樹種による経年変化は、同じ樹種でも異なりますし、使い方や環境によっても異なり、まとめるのは難しいです。
      ブログの検索窓にて樹種を検索していただくと、ある程度経年変化を判断できる場合があります。
      ご確認ください。