割れた木のシャープペンシルの補修(2回目)

修理木のボールペン

今回の修理品は、2013年に割れを一度補修した初期型の木曽檜のシャープペンシル
前回補修した割れ部分が広がってしまったのと、ペン先の具合が悪いと言うことで二度目の補修となり、お送りいただいたのがこちら↓

(初期型のため、金具がメッキのシルバーになっています)

上からは割れが見えませんがひっくり返すと前回より更に割れが広がってたので、前回の補修で埋めたパテをまずは取り除いていったところ困ったことに…

補修のために割れ部分を清掃した状態

割れ部分をよく見ると緑色になっているのが分かるでしょうか?
この緑色になっているのは緑青(ロクショウ)で、どうやら内部の真鍮パイプが割れ部分から入った湿気で錆びた為に浮いてきたもののようで、この緑青が内部から木部を押すことで割れが広がってしまっていたようでした。

これは割れを埋めても根本的に解決にならないと判断、持ち主の方に状況をお話し、真鍮パイプも含め木部以外全て交換のオーバーホールをすることになりました。

と言うことで、まず木部から真鍮パイプを取り外し。本来接着されている部分ですが、緑青が浮いたことにより接着力が落ちていたため、なんとか取り外す事ができました。

木部から真鍮パイプを取り外した状態

この後、木部内側についている接着剤や緑青を除去。
あまりゴシゴシすると木部が割れてしまったりするため、じっくりと進めましたがエメラルドグリーン緑青が出るは出るは…

内側がキレイになったら割れ部分を再接着
割れ部分に接着剤を着けて、紐で巻くことで木部を傷つけず固定。

接着後の状態

割れ部分を完璧に塞ぐことは出来ませんでしたが、それでもだいぶ割れ部分を小さく出来ました。

この後は新しい真鍮パイプを再接着し、残った割れ部分も補修剤で埋めて再研磨し、新しい金具を取り付け。

補修後の割れ部分
(写真ですと埋まってないように見えますがしっかり埋めてあります)

なお、今回は前回の補修時よりも硬い接着剤でしっかり固定したかったので結果的に埋めた部分が濃い色味になりました。

また、前回は部品を再利用しましたが、今回は部品自体も破損を確認していましたので、金具も9割方交換して、無事に修理完了。

修理が完了したシャープペンシル

こちらのペン、初期型の部品を使用していることから、少なくとも製作から15年は経過しており、それだけ長い間ずっと愛用いただいていたものだったので、オーバーホールが必要となった時はちゃんと直せるのか心配でしたが、無事にお客様の元へ戻すことが出来て本当に良かったです。

*今回のようにパイプ交換や割れの補修が必要な場合、状態により追加料金を頂戴いたします。

追記:
初期型の修理対応は終了いたしまいた。

コメント

  1. S より:

    持ち主です。
    大変な修理だったようで、改めてありがとうございました。
    長い間愛用してきたので、これからも大事に使っていきたいと思います。

    • kazu より:

      Sさん
      ものによっては大変な修理もありますが、そういったペンほど長く大切に使っていただけていることがわかりますので、とてもうれしく大変励みになります。
      本当に長い間ご愛用ありがとうございます。

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